「ブックメーカー投資で絶対に稼げる」といわれ50万の怪しい商材を売りつけられた話【実体験より】

渋谷や池袋のルノアールもしくは、ちょっと高い喫茶店なんかにいくと、就活中の大学生が怪しいビジネスの勧誘を受けているのをよく見かけます。

僕も大学生3年のちょうど就活を控えている時期に、「絶対に稼げる」と言われ、30万のツールと20万の講座を売りつけられたことがあります。

結局、学生ローンを借りる前に、「なんか怪しい」と気づくことができたので、買わずに済みましたが。

もし同じような勧誘を受けている人がいるなら、お伝えしておきます。絶対に儲かる話なんてないんです。

ということをお伝えする前に、まずは僕の体験談からお話します。

目次

大学3年の冬、SNSで某有名大学の学生から連絡をもらう

※画像はイメージです

ちょうど就活を控えて、「向いている仕事は何か?」「どんな社会人生活を送るべきか?」など、将来のことを本気で考え始める時期です。

当時主流だったSNSのmixiに、某有名私大の学生を名乗る人からメッセージをもらったのです。

メッセージの内容については詳しく覚えていませんが、夢を実現がどうとか、お金持ちがどうとか、仕事や人生に関してお話しませんか、みたいな内容です。

自己分析や仕事研究の役に立つと思い、二つ返事で、その人に会うことに。

待ち合わせ場所は、渋谷のアイスコーヒーが700円ぐらいする割といい感じのカフェ。現れたその人は、笑顔が爽やかで、いかにもできる人っぽい雰囲気を持つ人です。

その日は1時間ほど、

金持ちになりたいか?
社会の歯車として生きたくないだろ? 

という話から、

世界の富の何割は、何割の富裕層が持っている!
お金持ちになりたければレバレッジをかけろ!
お金がお金を稼いでくるような状況をつくれ!

などマネー系の自己啓発本や、お金持ちお父さん系の本の書いてあるような話を聞きました。

自己啓発など読んだことがなかった私にとって、そこで聞いた話はとても新鮮で面白く、疑うことなど完全に忘れていたのです。

ただ、その日は特に怪しげな勧誘を受けることはなく、「また、お時間があれば是非」といってその日は解散。

しかし、その日は聞いた話はすべて、高い教材を買わせるための布石だったのです。

1日20分の単純作業で月30万稼ぐ方法がある

mixiで連絡をくれた某有名私大のその人とは、2回目に会った時も、同じように「金持ちになるには……」「レバレッジが……」みたいな話をしました。

そして、3回目の会合。場所は都内オフィス街のチェーンカフェ。

こんなことを言われたのです。

「君、社会の歯車の1つとして生きていくのは嫌だろ! 裕福な暮らしがしたいだろ!」

「実は、1日20分の単純作業で月30万稼ぐ方法があるんだ!」

今であれば、一発で「なんかうさんくせー」と思うのですが、当時、情弱であった私は「それはスゴイ! 詳しく!」と言わんばかりにその人に話に耳を傾けていました。

熱心な姿を見て、その人は「ちょっと会わせたい人がいる」と申し出ました。

恐らく思ったのでしょう。「こいつは騙せる!」と。

ブックメーカーって知っているか?

※画像はイメージです

案内されたのは、オフィス街にある高層マンションの一室。

部屋に入ると、2LDKぐらいの広い部屋にピカピカのオフィスデスク、ソファがあり、生活のためにというよりはオフィスとして使っているという感じの部屋です。高層マンションというだけであって、内装はめちゃくちゃ綺麗で高級感があります。

部屋の窓辺においてあるL字型のソファに案内され、座ると、別の部屋から、30歳前後と思われる超イケメンが現れました。

黒縁メガネをかけ、スタイリッシュにお洒落なスーツを着こなし、乙ゲーに出てきそうな完璧なルックスのイケメン男性は、いかにもお金持ちで、仕事ができる雰囲気。

その人が隣に座り、手持ちのノートPCに、資料を映して話しはじめます。

聞いてみると、どうやらブックメーカーを使って稼ぐそうということなのです。

ちなみにブックメーカーとは、欧米では一般的なスポーツに賭けるギャンブルです。

たとえばサッカーの試合で、どっちのチームが勝つかに賭けたり、誰が最初にスローインを行うかに賭けたりするものです。

サッカーだけでなく、野球やラグビー、さらにはクリスマスに雪が降るかに賭けることもあるそうです。ブックメーカー自体は何ら怪しいものではなく、日本で言う宝くじぐらい、一般的なものです。

で、このブックメーカーを使い、1日20分の単純作業で月30万稼ぐ方法がある、というのです。

どうやって稼ぐのかというと……

ブックメーカーを行っている会社は3000社ぐらいある。同じ試合でも、ブックメーカーを運営する会社によってオッズが異なる。

 

色々な会社のオッズを細かく比較して、上手くベット(賭ける)ことで、試合の結果がどうであれ、確実に利益を出すことができる。

というものだったのです。

例えば、とあるサッカーの試合で、

  • ××社のブックメーカーでは、Yチームが勝つと4倍、Zチームが勝つと1倍
  • △△社のブックメーカーでは、Yチームが勝つと3倍、Zチームが勝つと2倍

このような状況があるとします。

で、Yチームには××社から賭け、Zチームには△△社から賭けます。

両方に1000円ずつ賭けた場合、

Yチームが勝てば、4000円獲得で、掛け金の2000円を引いて、2000円の利益です。
Zチームが勝てば、2000円の獲得で、掛け金2000円を引いて、プラマイゼロです。

つまり、確実にマイナスがでないのです。

ちなみにブックメーカーは毎日利用でき、さらに賭けの対象も無数にあります。これを何度も繰り返せば、手堅く利益を増やしていけるというわけです。

で、これはその時に聞いた話なので、どっちに賭けても儲かるような状況が、実際に存在するかはわかりません。

というより、そんな状況があるなら欧米人は誰も働かないでしょうが……。

「このツールを使い特別講座を受ければ、君も金持ちの仲間入りだ!」と言われ……

※画像はイメージです

ブックメーカーを運営している会社は3000社近くあります。

さらに賭けの対象はチームの勝敗だけでなく、どっちのチームが最初にゴールするか、PKは誰が蹴るかなど、無数にあります。サッカーだけでなく、野球やラグビーもあります。

無数にある対象のなかから、結果がどうなってもマイナスが出ないものをどうやって探すねん! という話です。

そこで登場するのが、

「独自に開発したツール」

だというのです。

なんとそのツールを使うと、無数にあるブックメーカー会社の無数にある賭けの対象から、確実にマイナスが出ない対象を自動でピックアップしてくれるとのこと。

まさに夢ツール、なわけなのですが、無料でご奉仕、というわけではありません。

お値段なんと30万。

さらに使い方にコツが必要なので、確実に稼ぐなら講座を受ける必要があるのだと。

その講座はたしか6回ほどで20万。

ちなみに、「ツールと講座のおかげで今は裕福な暮らしをしています。 ラットレースから抜けられました」みたいな体験談も見せられました。実際に使った人の写真つきで。

約50万という初期費用は必要だが、その後はリスクなしで絶対に稼げる。

確かに魅力的なツールです。(話が本当なら)

しかし、その辺の情弱学生が50万などという大金持っているわけがありません。

チャンスを逃すな! 学生ローンを借りてこい!

※画像はイメージです

ツールが30万、特別講座が20万というぐうの音も出ない価格を提示され、「そんな金ねーよバカヤロー」と帰ろうと思った時、

黒縁メガネのスタイリッシュイケメンは、スタイリッシュにこう言い放ちました。

「当然、そんなお金がないのはわかっている。でも学生なら学生ローンを借りられるよね!」

さらに彼はこう続けます。

「このツールを使えば、借りた金なんて数か月で返せる。その後は、1日20分の作業で楽に金を稼げるんだ」

「これは投資だよ。レバレッジをかけるんだ!」

そう、最初にmixiを使って連絡を取ってきた人が、投資やレバレッジの話をしたり、金持ちお父さんの話をしたりしたのは、学生ローンを借りることは正しい投資であると、思わせるためだったのです。

来週、高田馬場で待ち合わせね!身分証明書と印鑑もってきてね!

バカ高いツールを紹介された私は、さすがにちょっと怪しさを感じるようになっていました。

また意識高い系の大学生とスタイリッシュイケメンに、

「チャンスを逃すな!」
「社会の歯車になるな!」
「自己実現だ!」

などというしゃらくさい言葉を浴びせられることにも、面倒くささを感じていました。

「もう関わらないようにしましょう」そう思って帰ろうとした時、最初にmixiで連絡を取ってきた人からこう言われます。

「来週、一緒に学生ローン借りにいこうね!」

「場所は高田馬場で! あ、あと身分証明書と印鑑忘れずにね!」

なんと親切なことか。確実に稼げる独自のツールを売ってくれる上に、学生ローンを借りにいくのにも付き添ってくれるというのです。

親でも兄弟でもここまでしてくれないでしょう。

相手にするのが面倒くさくなっていた私は、とりあえず適当に返事をして、その日は解散することに。

で、翌日、銀行員である兄に相談したところ「そんなうまい話があるわけないだろバカヤロー!!」といわれ、確かにそうだよな、と思い直したわけです。

その後一切、連絡は取らず、高田馬場で待ち合わせをした当日もバックレました。

直前で、怪しさに気づくことができ、バカ高いツールを買わずに済んだのです。

「本当に儲かるなら」という視点で考えると、完全に怪しい

※画像はイメージです

今思えばどう考えても怪しいわけです。

本当に儲かるなら、その手法がすでに世に出回っているはずです。ブックメーカーなんて、昔からあるのですから。

本当に儲かるなら、人にツールを売る必要もないはずです。自分でツールを動かしていれば、一生稼げるのですから、SNSで人を説得して学生ローンを借りさせて、なんて面倒なことをする必要もありません。

本当に儲かるなら、誰にも教えずコッソリやるはずです。その手法で儲ける人が増えたら、企業や国が対策を講じて、手法が使えなくなるかもしれないのですから。

本当に儲かるなら、成功報酬型でもいいはずです。ツールと講座を無料にして、稼いだ額の数パーセントを成功報酬として徴収する仕組みにしてもいいはずです。

本当の儲かるなら、学生ではなく、お金を持っている社会人を狙うはずです。

ボーナスをもらった直後の社会人や、退職金をもらった高齢者なら、数十万のツールなんて簡単に売れそうです。情弱で学生ローンを使って簡単にお金を借りられる学生を狙うあたりが怪しい。

もちろんそのツールや講座が本当に詐欺的なものだったのかはわかりません。実際に使ったわけではないので、断定はできません。

しかし今考えれば、怪しい点はいくらでも見つかります。

私が体験した高額ツール以外にも、LINEやインスタグラムで楽に稼げる話やネットワークビジネスの話、情報商材の話は、腐るほど存在しています。

もし今、そういった怪しげな話に関わりそうなら、お金を捨てる前によくよく考えてみてください。

「本当に儲かるなら」という視点で。「本当に儲かるなら」という視点で。

著:山崎元, 著:大橋弘祐
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